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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

メイメイと不思議いきもの図鑑

関連キャラクター:メイメイ・ルー

風船ねずみ
 その小さなはぐれものがメイメイの前に現れたのは、あるよく晴れた昼下がりのことだった。

「プ、プ。プププ」
 小さな声を聞きつけて、メイメイは道の脇の草むらをかき分けてみた。そうしたその先にそれはいた。
 それは柔らかな毛皮に覆われたまんまるな身体から、小さな手足としっぽ、そして尖った鼻を突き出していた。大きさはピンポン玉ぐらいだろうか。
「ねずみ……かな?」
 小首をかしげたメイメイが手を近づけると、まん丸なねずみは尖った鼻をヒクヒクと動かした。
 細かなひげが手に当たってこそばゆい。
「ふふっ」
 思わず笑みを溢すと、まん丸なねずみも小さく鳴いて、そして跳ね上がった。
「プピ! プッ!」
「わっ」

 跳ね上がって、しかし、落下は緩やかに。その様はまるで、子供が遊ぶ紙風船のようだった。
 ふわりと降り立った手の平に、毛皮の感触と温かさが伝わる。紙風船にはない柔らかさだ。
「ピッ、プ。ププ!」
 メイメイのまだ知らぬギフトの効果か、はたまた害意が無いことが伝わったのか、まん丸なねずみは機嫌良さげにメイメイの手の平でコロコロ転がった。

 しばらくすると、まん丸なねずみは風に乗って風船のようにふわふわと飛んで行ってしまった。
「またね、です。風船ねずみさん」
 メイメイは小さく手を振りながら、見えなくなるまでねずみを見送った。
執筆:ゴブリン

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