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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

メイメイと不思議いきもの図鑑

関連キャラクター:メイメイ・ルー

はぐれオオコアリクイ
「はぐれオオコアリクイが出たぞ!」
 大きいのか小さいのか判断に困る名称のそれは、一メートル半ほどの体を起こし、威嚇の体制を取っていた。薄黄色の体に浮かぶ水着の様な黒い模様とくりくりとした目が愛らしいが、両手にはアリの巣を壊すための立派なツメがある。逃げ惑う村人たちの一人が、オオコアリクイと見つめ合うメイメイ・ルーの手を引こうとする。
「あいつの見た目に騙されちゃいけない、『寡婦作り』というあだ名のついた立派な猛獣だ! そのツメにやられた成人男性は数多、出てきたら帰るまで見守るしかない……!!」
 早口で説明する村人。
「え、えっと、でも。オオコアリクイさま、お腹が空いている、みたい、ですよ」
「そう、あいつはいつでも腹をすかしている! 好物はバナナと蜂蜜! うちの村の特産品だ!」
「そ、それは……めっ、です!」
 メイメイの微かな声にオオコアリクイが反応する。
 籠一杯のバナナのそばで威嚇をしていたオオコアリクイは、自分よりもやや小柄な少女に一声ブルルと鳴き……。
「そ、そんな」
「まさか」
「あのオオコアリクイが」
 オオコアリクイは威嚇を止め、のそのそとメイメイの側に近寄れば、長く細い舌で、彼女の顔をぺろりとなめる。
 そこには警戒心はない。オオコアリクイからの微かな興味と、親愛の情があった。
執筆:蔭沢 菫

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