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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

ウルトラ・ロマンティック

関連キャラクター:伏見 行人

爪先から

「……行人くん、それは?」
「これ? ネイルだよ、ネイル」
「どうしてまたネイルをするんだい?」
 男らしく骨張った指先が水色に染まっている。
「貰い物でね。どうせなら使ってみるのもいいかなって。どう?」
 ふー、ふー、と、効くかもわからないのに爪を乾かそうと奮闘する姿は可愛らしく。
「これ……私の瞳の色じゃないかい?」
 指先を彩るネイルの瓶をつまみキスを落とす。目の前の彼が意識してくれたらいいのに、なんて願いながら。
「ああ……そういえばそうだね。似合う?」
 きっとまだ乾ききっていないのに、己の指先を唇に触れさせて。しぃ、と笑って見せた行人は、蠱惑的に微笑んだ。
「……っ、当然だろう? 君は私のお姫様なんだから!」
 必死に、と形容するのは正しくはない。彼女のギフトは正常に働いているからだ。
 象られた美しい笑みはまさしく王子様のそれ。背中に隠れているであろう小さな握り拳(ほんしん)を思い、行人は満足げに微笑んだのだった。
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