イラスト詳細
恋屍・愛無のもみじによるSS用イラスト
恋屍・愛無のもみじによるSS用イラスト
イラストSS
希望ヶ浜のセンタービル前の広場はイルミネーションに彩られていた。
真ん中には巨大なクリスマスツリーが飾られ、その周りにも小さな木が設置されている。
どれもが沢山のオーナメントで煌めいていた。
「愛無さん……!」
「廻君」
広場の入口から小走りで近づいて来る廻に愛無は手を振る。
雪が舞う会場で、そんな風に走っては転んでしまうと言いかけた瞬間、廻は足下の煉瓦に躓いた。
「わわ!?」
「おっと……! 大丈夫かね」
人間形態では愛無の方が小さいというのに、すっぽりと受け止められてしまった廻。
「ありがとうございます」
座り込んだままの状態で愛無は廻へ獏のぬいぐるみを手渡す。
差し出されたぬいぐるみに廻は目をまんまるにして口を開けた。
「え? あまね?」
「廻君が寂しくないように。ただのぬいぐるみだが。似せて作ってもらった」
「わあ! 嬉しいです!」
あまねにそっくりのぬいぐるみを廻はぎゅうと抱きしめる。
まだ泥の器の浄化は終わらず帰れそうに無いけれど、愛無から貰ったぬいぐるみというだけで勇気が湧いてくるようだ。
「大切にしますね!」
煌めくクリスマスツリーの下で、満面の笑みを浮かべた廻に愛無は目を細めた。
※担当:もみじ