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【星空の友達】シュペルさんに大切な親友達を見せたくて頑張ったシャイネンナハト2023
イラストSS
●それでも塔にやって来る
「……あああああ、もう!!!」
一難去ってまた一難、程度の言葉で片付けられるのなら、シュペル・M・ウィリーは最初から苦労はしていない。凡そ完璧にして凡そ万能なる彼は自身に降りかかる災厄や問題を普通ならばものともしない。
だが、相手が可能性の獣ならばどうだろうか。
「シュペルさん、遊びに来たよ!」
……見ての通りである。ファゴット、フィールホープ、更にはライゼンデとまで連れ立って来たヨゾラ・エアツェール・ヴァッペンは彼にとっても一筋縄ではいかない相手だった。
(ろ、ローレットは天敵か……!?)
静寂と安定を好むシュペルを一体何人が踏み荒らしていっただろうか。
「シュペルさんだ! わーい!」
ファゴットは満面の笑みを浮かべている。
「初めまして、シュペル様」
高貴さを漂わせるフィールホープも嬉しそうだ。
(すまない……何というかすまない……!)
唯一、ライゼンデだけは『付き合わされた』感があり、申し訳なさそうな顔をしていたが。そんな事は最早シュペルには関係がない。
(そう思うのなら止めたまえよ!!!)
そも、どうして塔にやって来るのか。
何故、ローレットは塔が好きなのか。
(何とかと煙は高い所が好きなのか!?)
シュペルは自分自身を棚上げして頭痛を堪える。
「今行くからね!
ちょっとだけ待っててね、色々準備してきたから」
「パーティでも始める気か、貴様!」
「え、良く分かったね! 楽しみにしててね!」
「帰れ!!!!!」
帰る訳がない。
宣言したヨゾラ一行は理不尽にも塔を登り、またシュペルの時間を破壊していくのだろう。恐らく、きっと。
(……あああああああ……怠い。怠すぎる!)
完全な拒絶をしないのは彼のお人好しさであり。まあ、何だかんだ言って昔程は孤独癖がなくなったからなのだろうけれど――
――それも言ってしまえばこの『ローレットの毒』の所為なのだろう。
※SS担当:YAMIDEITEI