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八重 慧のヤぴによる関係者1人+PCピンナップクリスマス2023
八重 慧のヤぴによる関係者1人+PCピンナップクリスマス2023
イラストSS
しんしんと降り積もる雪の中、慧の視線の先には丁寧に雪囲いの施された紫陽花が並ぶ。
今は季節から外れているため美しい花は見られないが、こうしてしっかりと手入れをしているのだから、初夏の頃合いには庭全体で咲き誇ることだろう。
咲くのが楽しみだね。と隣で笑う百華を見て、慧も自然と微笑みを浮かべる。
「主さん、ちょっといいっすか?」
「どうしたの?」
言葉を掛ける屈託のない笑顔を見せてくれる百華に、慧はかつての事を想起する。
かつて絶望の淵にいた時、自分を救ってくれたのもこの笑顔だった。いまでもあの時のことは鮮明に覚えている。この笑顔といつまでも共に在りたいと心から願う。
だからこそ――。
「……あ」
「海の向こうのお話とかでは、仕える女性にこうやったりするそうですよ」
百華の手を取ると、そのまま自分の口元まで持っていき手の甲へ口づけする。
「……けーちゃんも、こういうの出来たんだねえ」
不意打ちだったのか驚きの表情を見せた百華だが、頬も赤らんでおりまんざらでもないようだ。
その瞬間に見せた柔らかな微笑みはいつものような大輪の笑顔ではなく、しかし「あの時」の笑顔と同じくらい印象的で。慧の胸に深く刻みつけられることになったのだった。
※SS担当者:東雲東