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White Out
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イラストSS
――プーレルジールという場所は、不思議なことも多いところだった。
天義の脅威も去って言った。大変な事は多くあったが、それでも平穏が訪れた事は喜ばしいと思う。
簡単な近状報告ではあったが、書き記したのはクロバにとっての少しの傷心だった。
孤独ばかりを抱えて歩いてきたクロバにとって、真に大切にしたいと願ったのはリュミエであった。
ただ、彼女は責務がある。使命がある。おいそれと誰かを愛する事は無いだろう。
分かって居るからこその近状報告だけに留めた。彼女の心の端っこに少しでも自分が居られることを願ったのだ。
遠回しのアイラブユー。きっと、リュミエは気付かないだろうけれど、伝えられただけで喜ばしかった。
(リュミエ)
勿忘草のしおりを手にしてくれただろうか。
彼女と顔を合せることも恐ろしくなったのは、自らが血に濡れた半生を送ってきたからだ。
美しいファルカウの巫女に自らはそぐわないだろうとクロバは考えて居た。
清廉たる巫女の傍にあるのはそうあるべき存在だ。だから、顔を合せることも隣にある事も出来ない。
けれど、心だけは――傍にとそう願った。
*SS担当:夏あかね