イラストSS

　天義で巻き起こった、冠位傲慢ルスト・シファーによる一連の事件の中で、美咲はその立場を大きく変えることになっていた。
　詳細は省くが最終的に何が起きたかと言うと、美咲は『死亡した』。
　実際には書類上では死亡したことになっているというだけなのだが、自身が所属する組織”公社”にはもう戻れない。
　無職となったためアルバイトを転々として食い繋ぎつつ、時折脳裏に過るのはエッダからの度々掛けられていた勧誘の言葉。
　瀕死の自分を救ってくれた恩義もあるため、今の自由な身の上ならばそれも悪くはない。が、だからと言って正面から堂々とよろしくお願いしますと言えるほど、美咲は素直な性格をしていなかった。
　どうやったら気取られずにエッダの騎士団へと入ることが出来るだろうか。と頭を悩ませ、最終的に辿り着いた結論。それは――。
「バイトで来たミリア=ミッテルハムと申します」
「美咲では？」
「違います、ミリアですの」
「でもハムって付いてるでありますよ」
「テメェ、それはデブのライン越えっスよ」
「美咲では？」
「違います、ミリアですの」
　偽名と変装による潜入。
　あっさりとバレてしまった気がしないでもないがゴリ押す。あくまで自分は佐藤　美咲なる人物とは無関係の別人なのだと。

　※SS担当者：東雲東