イラスト詳細
ヴェガルド・オルセンの桐生による関係者1人+PCピンナップクリスマス2023
作者 | 桐生 |
---|---|
人物 | ヴェガルド・オルセン |
イラスト種別 |
関係者1人+PCピンナップクリスマス2023(サイズアップ) (ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ からの提案) |
納品日 | 2023年12月24日 |
イラストSS
『Giertic holy happy holidays』
こつこつと、軍靴が鉄床を小気味よいリズムを刻む。
「……んあ?」
北海を統べるノルダインの大男、ヴェガルドが振り返った。
「なあ坊さん、さっきの話なんだが、ちょっくら……って、おい!」
男は勢いよく立ち上がり、錫の食器類がびりびりと震える。
「エイリークじゃねえか! だはは!」
「どうも御無沙汰しています」
「よせよせ他人行儀な返事なんざ、さっさと入れよ――」
ヴェガルドが革の幕を威勢よくめくりあげた。
「――お前の家なんだからよ」
ずかずかと奥へ進むヴェガルドに、エイリークは微苦笑をこぼし。
けれどその面持ちは、真冬の帝都へ稀に差す陽光のように、穏やかで晴れやかなものだった。
「さあさ座れよ、いや先に茶あしばき倒すか? まあ俺ぁよ!」
「大丈夫ですよ、自分でやります」
外へ張り出した簡素なバルコニーへ顔を出すと、吹き抜ける風は凍えるように冷たくて、けれどその清涼は不思議と心地よく感じられた。
「よーしよし、また少しデカくなったんじゃねえか?」
エイリークの頭を抱え込むように、ヴェガルドが頭をわしわしと撫でる。
「あはは、やめて下さいよ」
「んだあこいつう」
「僕だって子供じゃないんですから、もう伸びませんって」
「いくつんなった」
「そろそろとっくに二十も半ばですよ」
「ったく、いっぱしになりゃあがって」
「で、いつまで居られんだ」
「二日には戻ろうと思います」
「一週間たあ軍も気前がいい、うまいもんたらふく食おうや」
「ええ、楽しみにしています」
――「ちょっとヴェガルド。エイリークと私の足音を間違えるとはどういう見識ですの――」とかなんとか言われたのは、歯車大聖堂の冬支度が終わった、ちょうどその日の夜、小さな祭のことだった。
※SS担当者:pipi