イラストSS

「かわいい我（アタシ）のリリコ」
　あなたがそう呼んでくれるようになってから、どれだけ経ったのだろう。不安なときも、苦しいときも、あなたはそばに居てくれた。
「どうか愛される喜びを忘れないで」
　その言葉が私へ深く刺さった。心の奥底の柔らかい部分へ。心地よい痛みを抱えて、私は今日もあなたを想う。幸せなあなたを見つめているだけで充分だったの。だけど、私は、自分が思っているよりも我儘で欲張りみたい。届かないと判っていながらも、考えてしまうのよ。いつまでだって、あなたの隣に居たいわ。私の銀の月。
　私の喉は、呪いを吐く装置。それでも私の声を聞きたいと言ってくれるから、私はまだ私でいられるの。
　たくさんの愛をあなたにもらった。たくさんのぬくもりを教えてくれた。これ以上、何を望むと言うの。私のくせに。私なんかのくせに。それでも。
　……私、あなたの眷属になりたい。あなたの隣で、誰よりも幸福なさびしいあなたを、ずっと抱きしめて慰めていたい。
　だめね、きっと。そんなだいそれた幸せは、私には似合わないわ。名も知れぬ銀の月よ。どうかあなたがあなたの孤独を癒やしてくれる人と、とこしえに共にありますよう。

　※SS担当者：赤白みどり