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イラスト詳細

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤの桐生による2人ピンナップクリスマス2023

作者 桐生
人物 ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ
バイル・バイオン
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2023(サイズアップ)
納品日 2023年12月24日

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イラストSS

●『報告』
 その場所で予想外の人物に出会ったダニイールは逡巡した。
 クラースナヤ・ズヴェズダー教会領、教会街スヴェトロスクにある墓地。他よりは少し丁寧に整えられたその一角にはヴィクトル・シャフラノフ――クラースナヤ・ズヴェズター中興の祖と呼ばれる男が眠っていた。
(さてこれは……どうしたものか。
 今さら声を掛けるのも妙な話よな……)
 間を外した、と言うのが正解だろうか。
 ダニイールの眺める小さな背中は鉄帝国の宰相バイル・バイオンのものだった。ゼシュテルを揺るがした大事件の顛末は苛烈であり、救いもあった。帝政派の代表格たる彼とダニイールも因縁浅からぬものがあるが敵対はしていない。
「何じゃ、何も言わんのか」
 幸いと言うべきか声を掛けてきたのは当のバイルの方だった。
「お時間の邪魔をしては、と思いまして」
 ダニイールの言葉に「ふん」と鼻を鳴らしたバイルは言う。
「『コイツ』との関係はそんなに大層で、畏まったものではないわい。貴様も奴に報告にでも来たのであろう?」
 バイルの言葉にダニイールは頷いた。
 そう言えばバイルとヴィクトルは悲しい友人関係にあった筈だ、と考えた。
「長かった。そして、長いのだろうな。これからも」
「はい」
 誰に云うともなしに独白めいたバイルにダニイールは頷いた。
 色々あったが少なくとも悪い結末を迎えた訳ではない。
 だがこれより先をより良いものにしていく為に必要なものは山とある。
「ダニイール」
「……?」
「若輩の話を聞くのも悪くない。たまには王都を訪れよ」
 水を向けたバイルの『歩み寄り』はこれからのゼシュテルの少し明るい未来を思わせた――

※SS担当:YAMIDEITEI

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