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物部 支佐手の真坂野による2人ピンナップクリスマス2023
物部 支佐手の真坂野による2人ピンナップクリスマス2023
イラストSS
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支佐手は悩んでいた。
しゃいねん・なはとなる大陸の催し物が定着しつつある昨今。されど帝の生誕日の印象の方が強い豊穣。世界的に祝日ではあるが、休めない部署も存在する。そのひとつ――刑部の長ともなれば尚更のこと。今日も職務に就いている刑部卿――白水へと、同じく刑部の者として支佐手は報告に上がっていた。
無作法があってはならぬと淀みなく広げた書状を読み上げ、報告していく。
時折視線だけで白水の反応を見、静止が掛けられなければ続ける。
――のだが。
(いつお渡しすれば……)
そう、しゃいねん・なはとには贈り物の文化があるのだ。
大恩ある刑部卿に相応しいものをと支佐手は頭を捻った。美酒が好きとの噂は聞かぬし、手作りの菓子は失礼にあたるかも知れぬ。そこへ、派手好きの『鶴』が鳴いたのだ。外つ国の菓子が好きだよ、と。
(これなる『しゅろーれん』なる菓子ならば、きっと)
お気に召さねば鶴へと文句を言う必要もある。
だが、今一等大切なのはタイミングだ。報告をして……それから日常会話? いや、刑部卿が無駄話をしているところを見たことがない。さすればどう切り出すのが正解か。
時折ちらりと体で隠した包みへと視線を向けながらも、口は滑らかに報告を読み上げていき――。
「――以上が報告となります」
ああ、報告を終えてしまった。
※SS担当者:壱花