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イラスト詳細

キドー・ルンペルシュティルツの萬吉によるおまけイラスト

作者 萬吉
人物 キドー・ルンペルシュティルツ
艶蕗
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2023年12月24日

1  

イラストSS

 日付が変わって間もない深夜──。
 艶蕗はいつ戻るかもわからないキドー・ルンペルシュティルツの帰りを待ち続けていた。睡魔が兆し始め、ソファーに腰掛ける艶蕗はうつらうつらとしている。
 艶蕗の色香を引き立たせる薄化粧も、女性らしい魅惑的な服装も、すべてはキドーのために準備したものだった。その準備が報われない夜も何度もあった。頻繁に艶蕗の下に訪れる方が珍しいくらいだ。
 愛人に等しい複数の存在がいることも黙認し、艶蕗はどうしようもないほどにキドーという男との関係を受け入れていた。だからこそキドーは、誰よりも甘えられる存在として、艶蕗の下に戻ってくるものなのか──。

「あらあら……おかえりなさいでやす」
 ようやく深夜に訪れたキドーを出迎えるなり、艶蕗はその腰に腕を回された。身長差もあり、キドーは艶蕗の腰のあたりに顔を寄せ、縋るように抱き着く。
「今日は、いろいろと……疲れちまったよ」
 キドーは脱力した様子で、その一言を口にした。
 疲弊し切ったキドーを受け止め、艶蕗はその背中にそっと両腕を回す。
「お疲れ様でやんしたね」
 そう静かにつぶやいた艶蕗は、至極優しい手付きで、まるで子どもをあやすようにキドーの頭をなでた。
 艶蕗の温もりによって、キドーはすべての鬱屈した感情が溶けていくような感覚を覚えた。こうしてキドーが弱った姿を見せ、甘えられる数少ない存在だということに、艶蕗は優越感のようなものを感じていた。

 ※SS担当:夏雨

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