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イラスト詳細

キドー・ルンペルシュティルツの萬吉によるおまけイラスト

作者 萬吉
人物 キドー・ルンペルシュティルツ
艶蕗
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2023年12月24日

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イラストSS

 キドー・ルンペルシュティルツは、鏡の前で身支度を整える。鏡にはいかにも不機嫌そうなゴブリンの顔が映っていた。また、普段のヤクザのような柄の悪いスーツ姿とは異なり、余所行きのスーツとネクタイで決め込んでいる。
 不機嫌そうなキドーとは対象的に、キドーの背後に映る艶蕗は微笑を浮かべていた。鏡を見ながらネクタイを締めるキドーの髪を、艶蕗は丁寧に櫛で梳く。
 小人のような体長のキドーと艶蕗とでは、親子ほどの体格差があった。見た目からしてかなりちぐはぐな2人ではあるが、キドーを見つめる艶蕗は、何よりも愛情深い眼差しをキドーに向けていた。
 よくある朝の光景だったが、世間の暦的には今日は聖夜──シャイネンナハトの期間である。祝祭ムードで盛り上がる世間の雰囲気はあれど、絶賛出勤日のキドーには関係のないことだった。
 髪を結い始める艶蕗を尻目に、キドーは睨むようにスケジュール帳を眺める。そこには今日、挨拶回りに向かう予定の団体、会社のリストがずらりと並んでいた。そして、夜は自身が経営する人材派遣会社のスタッフたちと、忘年会を兼ねた宴会が控えている。
 すべては社長としての務め──キドーは、一段と忙しくなりそうな予感に更に顔をしかめる。しかし、キドーが不機嫌な理由はそれだけではなかった。シャイネンナハトということもあり、今では決別してしまった友人たちとの思い出が、嫌でも蘇ってくるのだ。そのことが、キドーの心境を複雑にさせていた。
 思わずため息がもれそうになるキドーだったが、ふと鏡越しに艶蕗と目が合った。
「フフ……もうすぐできるでやんすよ」
 そう言ってキドーに微笑み返す艶蕗は、器用にキドーの髪を編み込んでいく。キドーはそんな甲斐甲斐しい艶蕗を労りもしない。だが、ほんのわずかではあるが、その険しい表情が和らいだように見えた。

 ※SS担当:夏雨

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