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ステファン・ダールバニの流聖飛鳥による2人ピンナップクリスマス2023
ステファン・ダールバニの流聖飛鳥による2人ピンナップクリスマス2023
イラストSS
ぐつぐつと鍋の煮える音がする。
それは冬の風物詩であった。にんじんとか白菜とかきのことか肉団子とか。そういったものを全部入れて、適当に味付けをして。ただ煮込んでおけば、だいたい美味しくなるので安心である。
甚平にこたつ。それからみかん。美味しいものとあたたかいものさえあれば、この冬だって乗り切れるに違いない。
人形の身体であるというのに蒸気の中へ手を突っ込んで無理をして。でもきっと、食事の楽しみを知っているからだと思うからとめはしないのだけれど。
その優しさが何よりも温かいものだと知っているから、止めようにも止められない。
「もうすぐ出来上がるわよ!」
「わぁ、本当?」
「本当よ、嘘はつかないわ。さ、いっぱいたべてね」
「勿論。みかんに手を出しちゃうくらいには、おなかがぺこぺこだったんだ」
「ふふ、待たせちゃったわね」
「でも待った方がご飯はよりおいしくなるよ」
「それもそうね。よそいましょうか?」
「じゃあお言葉に甘えて」
ほかほかと煮込まれた鍋。その最初の一口。
「あつ、い、けど、おいしい……!」
「ふふ。それならよかった」
「でも僕だけ食べてちゃ悪いよ。一緒に食べよう?」
「そうね。そうしましょうか」
※SS担当:染