イラストSS

　粉雪の舞い散る中、リカはお気に入りのカフェで紅茶を嗜んでいた。
　世間はシャイネンナハトに彩られ賑わいを見せているが、こうしてひっそりと静かに過ごすのも悪くはない。
　敢えて選んだテラス席で、冬の寒気を感じながらのむ暖かな紅茶というのもオツなものだ。一口飲めば身体の芯から温まっていくのが感じられて、思わずほぅっと息を吐く。
　恐らく、今年最後になるだろう平穏な一日。また明日からは戦いの日々に戻ってしまう。だからこそ、じっくりとこの穏やかな時間を楽しむのだ。
　と、思っていた矢先のことである。
「輝　か　ん　ば　か　り　の　こ　の　夜　に　！　！　！」
「ブフォッ！？」
　偶然通りかかったらしいウルズが鼓膜を破るのではないかというほどの大声量で声を掛けてきたのだ。
　不意打ちを喰らったリカは驚きのあまりに口に含んでいた紅茶を噴き出し、ごほごほと咳きこんでしまう。
　こんな事をするような人物は一人しかいない。咳が落ち着いてから店の入り口の方へと視線を向けると、案の定というべきかウルズが元気よく手を振っていた。
　恐らくこの後ウルズに付き合わされることは間違いないだろう。せっかくの平穏な日常が儚くも散ってしまったことに、頭の痛い思いをするリカなのであった。

　※SS担当者：東雲東