イラストSS

「エリスちゃんはケーキを作ったことはある？」
「いいえ。わたしは森から離れることがあまりなかったので、経験はありません。
　お料理の経験もあまりないので……教えて頂いても良いですか？」
「うん、任せておいてよ！」
　にんまりと笑った焔はエリスにエプロンを着せてやった。背中の紐を結んでやれば彼女はどこか嬉しそうに笑みを浮かべる。
　氷の精霊女王は人らしい姿になって、早速粉をボウルにいれてみた。
「ふわふわです」
「わっ、エリスちゃん、舞っちゃってる！」
「はい。これからどうすれば？　ええと、お水の分量を量るよ、ってわーー！　すごいお水が出てる！」
「わ、わ。難しいです」
　何一つ慣れやしない。人の営みは面白くて。エリスは困った様子で水を入れ、卵を割り入れ――勿論、殻が飛び散った――てから、泡立て器を手に取った。
「そうそう、次はそれを入れてよく混ぜて。うん！　いい感じだね！　これならきっと美味しく出来るよ！」
「ありがとうございます。これなら、できそうです」
　安心して下さいと告げるエリスは必死に料理を続けて居る。
　彼女と共に作り上げるケーキがどの様な出来になるのかが今からとても楽しみなのだ。


　＊SS担当：夏あかね