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赤羽・大地のゆりちかおによるおまけイラスト
イラストSS
聖夜祭の夜。お気に入りの靴をはいて、少女は広場を歩いていた。
お祈りの時間はもうすぐだ。
「今日はね、ローレットの人達が来てくれるから」
たどたどしく言うのは、手を引いて横を歩く父だ。
出稼ぎのせいであまり顔を合わせない父も、聖夜夜には帰ってきてくれる。それだけで少女は嬉しかったが、父はどこか気まずそうだった。
ふと、空いたもう片方の手に視線がおちる。
去年まではこの手を母が握っていた。
病気がちであまり外に出れない母も、昨年の聖夜祭は一緒に広場を歩いてくれたから。
父と母と、あの時までは三人で。
「ああ、お祈りの時間だ」
父がふとした様子で足を止める。鐘が鳴り、皆手を合わせている。
そして……。
「わ、あ……」
ふわりとした白い光が、地面から空へと昇っていく。
雪のように見えたそれは、けれど違う。
「お母……さん?」
「雪じゃない、これは……」
「あァ。信じる者は救われル、ってノ。今夜ぐらいは信じて良いかもナ」
「とっても、とっても、綺麗なの……」
広場の真ん中に集まっていたローレットからやってきた三人が声を上げて空を見た。
手を上げ、ピリア(p3p010939)が空に光をのばす。まるでふわふわと昇っていくそれらを案内するみたいに。
「『月の導きがありますように』」
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)が手を合わせて祈りの言葉を述べれば、赤羽・大地(p3p004151)もまたそれに続いた。
大地の描いた陣が淡い光となる。昇り逝く光たちが迷わないように。いくべき場所へいけるように。
そして何よりも、祈る人々の心が届きますようにと。
優しく微笑む大地の左右で、ピリアとジョシュアもまた笑みを浮かべた。
広場は感動と祈りの声でいっぱいだった。
そんな中で、少女は手におちた雫に気付く。父と繋いだ手だ。見上げると父の頬にまたひとつ雫が伝っていた。
目元を拭い、見下ろす父。
「ご馳走が沢山ある。一緒に食べようか」
声は涙でかすれていたけれど、ぎこちなさはもうない。
空いた手にふと温かさを感じて、少女は微笑む。
「……うん!」
今宵は素敵な聖夜祭。
きっとあの三人が、奇跡を連れてきてくれたのだろう。
少女はそう信じて、父と共に歩き出すのだった。
光の昇った、空の下を。
※SS担当GM:黒筆墨汁