イラスト詳細
クシィの糸巻茜による2人ピンナップクリスマス2023
クシィの糸巻茜による2人ピンナップクリスマス2023
イラストSS
「――コルボ!!!!!」
月夜の砂丘にクシィの声が吸い込まれていく。
砂丘の頂点――月を背にした男は呼び声に振り向いた。
「よお。よく見つけるもンだ」
(こっちがどれだけ苦労してると思って……!)
そう、苦労していないわけじゃない。
でも、その苦労をしてでも会いたいヒトだから。
(今夜の俺は一味違う)
相応の覚悟を決めてきた。恋する妖精だっていつまでも恋に溺れていられない。
恋は、掴み取らねばならないのだ。
「コルボ」
「ああ、何だ?」
愉悦を含んだ眼差し。肌が粟立つのを感じながらも、クシィはコルボのマフラーを掴んで引き寄せた。その拍子に覆面も外れ落ちる。
彼ほどの鍛えられた体格であれば、クシィに引っ張られたとて体勢を崩しはしない。だが彼は為されるがままに彼女へ体を傾けた。
ともすれば唇が触れ合ってしまいそうな距離。1秒、2秒、3秒。
(も、もう駄目かも、いや、その前に……!!)
いつものようにはならないと、決めたのだから。
コルボは愉しそうに彼女を見下ろしていた。全ては彼女の思うがままに――彼女がどのような選択をするのか、ただ待っている。
見つめあって、5秒を数え切る前に。クシィはぎゅっと目を瞑り、掴んでいたマフラーを小さく引き寄せた。
その動作だけで、十分な距離だった。
※SS担当:愁