イラストSS

　シャイネン・ナハトを迎え、八田 悠は色めき立つ街を歩く。降り積もった雪が外観通りの寒々しさを伝えてはくるものの、道行く人々の視線はそれ以上に寒々しいものに――主に彼女の外見に――釘付けになっていた。
　別に、周囲を寒がらせようと思っているわけでもない。男達の視線を集めようとも思っていない。おそらくは彼女にとって『似合う』服を、シャイネン・ナハトらしい服装を選んだ結果として胸元から肩を大きく晒す衣装を選んだにすぎないのだ。どころか、服を身にまとっているだけ、普段より理性的である、とすらいえた。
　文字通り『身の丈に合っていない』髪を振り乱すでもなく自然に操り、地面に触れさせず闊歩するその姿。色香を振りまく、というよりも自然な振る舞いとして歩いているだけ、という大雑把さ。
　それは恐らく、悠が自分自身どう見られるか、ではなくどう見せたいか、でもなく、どう振る舞えばありのままでいられるか、その体現なのかもしれない。ただ歩くだけなのに浮き足立って見えるのも、表情がいつもよりも柔らかく見えるのも、きっと『シャイネン・ナハトの魔法にかかったありのまま』に過ぎないのだから。

※SS担当：ふみの