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零・K・メルヴィルのサナセオキレによるおまけイラスト

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 ――暖かかった。
 多分、今までに感じた、どんなものよりも。
 ムラデンや、お姉さまと一緒の時だって、暖かかった、けれど。
 それは決して、否定しないのだけれど。
「見てほしいのです! こんなの素敵なお菓子なのです!」
 そう言って笑う、アリカの笑顔も。
「お菓子もいいけど、こっちのお料理もおいしいよ~!」
 そんな風に誘ってくれる、ヴェルーリアの笑顔も。
「……どうしたのです? あの、ぼーっとしているようで……?」
 ぴよぴよと心配げに見てくれる、Lilyの顔も。
 優しく見守ってくれる、レイの笑顔も。
 全部、全部が――あたたかい。
「えっと、なんでもなくて」
 そう、ストイシャが言う。
「なんていうか……あの、あったかいな、って」
「あ、氷竜だから、部屋の温度が高すぎる、とか……?」
 アリカがわたわたと慌てたように言う。
「えっと、お水? 飲みます?」
 そう言ってお水を差し出すのへ、ストイシャはくすくすと笑う。
「ありがと。でも、そうじゃなくて。うん。悪い気持ちじゃなくて」
「あ、なるほど、心があったかいっていうやつだね!」
 ヴェルーリアがそう言って頷いた。
「分かるよ~。えへへ、私もね、とってもあったかいと思う!」
 きっと、そうなのだろう。誰もが、皆が――暖かな気持ちになれる。そんな一幕。
 隣には、友達たちがいて。大切な人たちも、同じ場所にいて。
 皆が、笑いあっている。そんな光景。
 それは、どれだけ大切であったとしても、三人であったなら、きっとみられることのなかった光景。
 ……皆が、繋いでくれた、未来(いま)だからこそ、見られる。そんな光景。
「……えっと、ストイシャさん。
 私、すっごく嬉しくて」
 そう、Lilyが、穏やかに笑った。
「こうして、ストイシャさんと、一緒にシャイネンナハトを迎えられて……。
 皆の、戦いが、未来を作ったんだな、ってそういう気持ちになって……」
 そういうLilyへ、ストイシャは笑った。
「ん……ありがと、リリー」
 笑って、Lilyのほっぺたにキスをしてあげた。友愛のキスに、Lilyはぴゃっ、と顔を赤らめる。
「よかったな、ストイシャ」
 そう、零は笑う。妹のような存在に、たくさんの友達ができたこと。それは零にとっても、とてもうれしいことだったから。
 シャイネンナハトの夜は更けていく。
 そして、イレギュラーズたちが紡いだ絆は、これからも続いていくのだと、そう思わせる一日だった。

※SS担当:洗井落雲

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