イラストSS

「できたわよ！」
　元気のある誇らしげな声と共にキッチンからルチアが出てきた。その手は大皿に大きな鶏肉の丸焼きが、美味しそうな湯気を立てて乗っていた。
「わぁ、すごいです。美味しそう」
　それを見て鏡禍はパチパチと拍手する。
　ここは教会のリビング。二人の自宅であり、夫婦となって初めてのシャイネンナハトで豪華なごちそうを用意しているところだった。
　テーブルにはすでに料理が並び、ルチアの持ってきたものが最後でありメインディッシュでもあった。テーブルの空いたところに大皿を置けば、豪勢なクリスマスディナーの完成といったところか。そのほとんどをルチアが作っているのだから彼女の張り切り具合もよくわかるというものだ。
　普段の冷静な表情も今この時ばかりは渾身のドヤ顔である。
「なんだか幸せだなぁ、ルチアさんと一緒に、ルチアさんの作った料理を食べて、シャイネンナハトを過ごせるなんて」
「何言ってるのよ。夫婦なんだから当たり前でしょう？」
「んー、そうなんですけど、やっぱり嬉しいなって」
　変な人、と席に着きながら首をすくめるルチア。その口元が少し緩んでいるのを鏡禍は知らないまま。
　食べようかと二人の手が合わされて、声が重なった。
「「いただきます」」

　※SS担当者：心音マリ