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水月・鏡禍のみずうみによるおまけイラスト
水月・鏡禍のみずうみによるおまけイラスト
イラストSS
あなたに教えて貰った味を、今でもずっと覚えてる。
わたしを作ってくれた味。わたしを象った思い出。
あなたがわたしにくれた、素敵な素敵な、思い出の輪郭。
「こうしてマシュマロを焼いて……」
くしを通した大きなマシュマロを、暖炉に向けてこんがりと焼き上げる。
とろみのついたそれをビスケットの上に載せると、もう一枚のビスケットでそれを挟んだ。
「ビスケットに挟んでみれば、ほら。焼きマシュマロサンドのできあがりですよ」
にっこりと笑う鏡禍から焼きマシュマロサンドを受け取って、ステラは物珍しそうに眺める。
甘くて温かい香りがふんわりと漂って、もう既に美味しそうだ。
「食べてもいいの?」
「勿論。食べてみてください」
「うん……」
おそるおそる口に入れて、ひと囓り。
すると香りから想像していたものよりずっとずっと強い甘みが口いっぱいに広がって、思わず『ほわっ』と声を出してしまう。
その様子に、鏡禍はあははと声をあげて笑う。
「すごい、こんなの知らなかったわ」
「でしょう? 僕も始めて知った時は驚いたんです。加熱することで甘みが増すとかで……」
得意げに説明する鏡禍の顔を、まじまじと見つめるステラ。
「どうかしましたか?」
「ううん。なんだか……楽しいな、って」
微笑む二人。二人だけの、時間。二人だけの、思い出。
※SS担当:黒筆墨汁