イラストSS

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　聖夜。
　外……幻想の街は舞う雪の中、眩いイルミネーションで彩られている。
　底冷えのする寒さだが、あちらこちらで楽しそうに歩く家族連れや幸せそうに寄り添うカップルの姿があり、どことなく温かさを感じさせる。
　……自身の営む占い師の館の休憩スペース、木造の建物に備え付けられた窓からそうしたシャイネンナハトの光景を眺めていたヴァイオレット。
　昨年までなら、彼女もまたその温かさを感じていた事だろう。

　室内、ヴァイオレットの背後にあるテーブルには、小さなホールのケーキ。
　そして、２つの皿の上にはそれぞれフォークが置かれてある。
　間にある黒いスマートフォンには、かけがえのない人と撮った１枚が映し出されている。
　……この場に、彼女が想う人の姿は、ない。

　これまで毎年、シャイネンナハトを過ごしていた無二の親友。
　彼女は行方不明になってしまった。
　――今は遠くのあなたへ。私ももう、一人で生きていけるけど。
　ぼんやりと外を眺めるヴァイオレットは右手を窓に触れ、虚空へと呼びかける。
　――やっぱり、あなたの居ない日々は慣れないよ。
　下げたままの左手は何かを堪えるように、強く強く握りしめていたのだった。

　※SS担当者：なちゅい