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既知の探索2023【後】
既知の探索2023【後】
イラストSS
「……」
「……」
その夜、二人には何かがあった。
イーリン・ジョーンズはソファーでエクスマリア=カリブルヌスを膝枕する事は珍しい事では無いはずだった。いつもなら穏やかな気持ちで、ただただ彼女の髪を優しく撫でて過ごすはずだった。
今は何故かお互い視線が合わないでいる。イーリンは文庫を読むフリをして視線を明後日の方向へ向け、エクスマリアにしても何かを言いたそうにジトッと不満気な視線を送っている絵面。
こうなる前に何かがあったのは明白だが、彼女達は安易にそれを口にするような野暮な事はしないだろう。だからこそ続く沈黙、盟友と言う関係下で香る雰囲気にどうしても言葉が野暮に思えてしまう。
イーリンが誤魔化すようにか空いた手でエクスマリアの角を弄っているのも、彼女にとっては不満の一つになっているのかもしれない。
ああ、シャイネン・ナハトになんて雰囲気になってしまったんだろう。だなんて、そんなものは茶番である。
気が知れた仲である『盟友』だからこそ、それは訪れたのかもしれない。常に戦いに身を置く者同士、こうした穏やかな時間を共に過ごした時に、化学変化のように妙な『何か』はきっと訪れてしまったのだろう。
そして、これ以上二人の雰囲気を壊す事……それもきっと野暮と言うものである。
※SS担当:月熾