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リースヒースのひよこ三郎による2人ピンナップクリスマス2023
リースヒースのひよこ三郎による2人ピンナップクリスマス2023
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「随分積もっているな」
「道理で馬車も激しく揺れるわけだね」
リースヒースはルブラット・メルクラインと共に自身の馬車に激しく揺られていた。森の雪道を走っているのだからそれも当然だろう。
「すまない、苦労をかける事になってしまったな」
「そんな事はないよ、これもまた一つの思い出になる」
「……そう言ってくれると助かるよ」
ルブラットの少しズレた答えにリースヒースは苦笑する。辺りには馬車が走る音しか聞こえない程の静謐が広がる。雪国と言えば鉄帝が最初に浮かぶが、その国の名所である銀の森を進んでいるようだった。
しかし特に目的地はない様子で、所謂ドライブのような宛のない旅路のようだ。
「……シャイネン・ナハトだから、だろうか……こんなに静かなのは」
まるで死者の声すらも聞こえないのだと、元死霊術師の影使い魔術師であるリースヒースは外を眺める。
シャイネン・ナハトだから、なんて言うのもこの世界の聖夜は世界から争いが消えるが故。これまでの数年、数度の聖夜の前に争い事は集結してきた。鉄帝もかつては戦火が舞う戦場だったがその争いも春までは続いたものの聖夜を前に一旦静まってはいた。
「……こう、久々に穏やかなものだ」
出来れば続いて欲しい友との平穏な時間。
ただただ馬車に揺られるだけ。
※SS担当:月熾