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オデット・ソレーユ・クリスタリアのなかのただひとによるシングルピンナップクリスマス2023
オデット・ソレーユ・クリスタリアのなかのただひとによるシングルピンナップクリスマス2023
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わん! と吠え声が聞こえてオデットは視線を目の前のケーキから下へと落とした。
そこには真っ白な毛並みを持つ氷狼の仔犬──オディールがいて、こてんと傾げられた首とくりくりとした愛らしい瞳は「何をしているの?」と告げていた。
「ふふ、ケーキを作っているのよ」
ほらできた、とちょうど出来立ての小さなケーキを見せてやれば嬉しそうに尻尾をぶんぶん振ってくれる。飛びついてきそうなのを待てと抑えて、ちゃんと意味があるのよ、と続ける。
「今日はね、シャイネンナハト。またはクリスマス、よ」
こうやって家族で、仲のいい友人たちと、もしくは一人かもしれないが、平和に過ごす大切な日なのだと。
鉄帝の動乱からオデットのところにやってきたオディールだが、彼にとっては初めてのシャイネンナハトだ。家族として祝うのは当然として、冬の日にも優しくて暖かく幸せに祝う日があるということをフローズヴィトニルの欠片である彼にも知って欲しいのがオデットにとっての願いでもあった。
わふ? と首をまた傾げたオディールに伝わっているかは定かではないが。
「ほら、ご飯にしましょ」
わからなくてもいい、いつか伝わってくれたら。
ケーキの上のイチゴを取ってオディールに投げてやってから、小さくそう呟いた。
※SS担当者:心音マリ