イラストSS

「乾杯」

　チン、とブレンダとシルトのグラスが重なる音が聞こえる。

　シャイネンナハト、聖なる夜。
　色々あった２人だが無事に婚約が決まり、今日は婚約後初のシャイネンの夜でもある。
　そのため２人は張り切ってディナーや飾り付けをしており、雰囲気もそれらしくなっていた。

　乾杯の音頭を取ったあと、揃ってグラスの中のシャンパンを飲む。
　舌の上でシュワッと弾けて、そこから発生する香りが鼻の奥を通り抜けていった。

「さ、冷めないうちに食べよう」
「そうだな。俺も準備したんだ、ぜひとも君に食べて欲しい」
「これだろう？　もちろん、一番最初に食べようと思っていたよ」

　小さく笑って、ローストビーフの皿に手をつけるブレンダ。
　シルトが作ってくれたものなら美味しいのは間違いないからと、丁寧に食べ進める。
　またシルトもブレンダが用意したなら美味しいのは間違いないと、サラダを取り分けて食べ進めた。

　そのうち、ディナーを楽しみながらも２人はある約束を取り交わす。

「これまで色々と大変だったけど……これからも末永くよろしくな。ブレンダ」
「ああ、もちろん。こんなに美味しい料理を作ってくれる人を手放すわけにはいかないよ」

　シャイネンの夜に誓った約束。
　ブレンダが元の世界に帰る時は、シルトも共に……。

　※SS担当：御影イズミ