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ニルの銅貨によるおまけイラスト
ニルの銅貨によるおまけイラスト
イラストSS
味覚というものは人間が取得した生存戦略の一つであろう。
美味しいものを食べるという本能には抗い難いものがある。
まずいものより美味しいものを食べたいと思うのは当たり前であった。
しかし、ベスビアナイトとニルにはその味覚が備わっていない。
ベスビアナイトは機械の身体を持つAIで、ニルは限りなく人間に寄せて造られたモノであった。それでもふたりは『おいしい』を知っていた。
「ベスビアナイト、どれもおいしそうでニルは迷ってしまいます……」
ニルはトングを手に目の前に広がるスイーツにわくわくしていた。
苺のショートケーキに花の形の砂糖菓子、マカロンにモンブランなど、色とりどりのスイーツが並んでいる。
「僕はマカロンとチョコケーキを取るので、ニルはこっちの苺クリームとマフィンはどうですか?」
ベスビアナイトの問いにニルは名案だとこくこくと頷いた。
「ふたりで分けたらいろいろ食べられますね」
味覚が分からない二人ではある。
けれど、人間が感じるような『おいしい』は分かるのだ。
大切な人と一緒に同じものを食べる時間。
その思い出の共有こそ、何にも代えがたい美味しさなのだから。
※SS担当:もみじ