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スティア・エイル・ヴァークライトの若崎にこによるおまけイラスト
スティア・エイル・ヴァークライトの若崎にこによるおまけイラスト
イラストSS
白いと息を吐きながら、カロルは空を見る。
真白の都から見る空は神の国で見るものとそれ程違ってはいないのだ。
それでも、美しさは大きく違って見えたのは彼女が傍に居るからだろうか。
「顔の良い女と一緒に見る空って、綺麗に見えるのね。顔のいい男達は私と夜空を見上げてくれなかったから」
「そうなの?」
「そうよ。サマエルは空を見るより私に罵って貰う機会を探すでしょ。マスティマとアドレは見てくれないし。
……ルスト様は、きっと、そんなことに興味は無いわ。私のことを道具のように思って居たでしょうからね」
好きな人の役に立ちたいと願った彼女は、最後のその恋を喪った。その代りに得たのがこの時間で、この命なのだ。
スティアは「ルルちゃんは……それでも、ルストのことが好きだったの?」と確かめるように問うた。
道具のように思われていたって好きだった。ある種の盲目と献身。本当にカロルにとっての恋であったのかは分からない。
けれど――「きっと、好きだったし、失恋したのは変わりないのよ」とカロルはそう言った。
「でも、構わないと思っているわ。スティアが居るし、この国を守って行くみたいな生きる希望も出来たから」
「……ルルちゃん」
「おまえも、何があってもこの国を守るのよ。それが私との約束なんだからね」
カロルはにんまりと笑ってから空をもう一度仰いだ。
*SS担当:夏あかね