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ヴェルグリーズのMewによるシングルピンナップクリスマス2023
ヴェルグリーズのMewによるシングルピンナップクリスマス2023
イラストSS
シャイネンナハトの今日も、花屋をやっているわたしは、誰かが誰かに贈るための花束を作っていた。
彼が訪れたのは、疲れたなぁと欠伸をした夜の半ばのこと。
カッコいい人だった。ファッション雑誌の表紙でも務めていそうな出で立ちだった。ワイン・レッドに仕立てられたスーツを涼やかに着こなしている。一見派手な色のスーツだが、ありがちな軽薄さは感じられない。きっちり身に着けられた濃紺のネクタイと金色の釦が、上品な大人の落ち着きを醸し出している。
天より舞い落ちる淡雪も、華やかなイルミネーションさえも、彼を彩るアクセサリーのように見えた。
「輝かんばかりのこの夜に。――花束を一つ、作ってほしいんだ」
そんな言葉と共に、彼が選んだのは薔薇の花々。清廉な純白の花弁。
月の光に当てると、きらきら、きらきら、星のような白銀色に輝いた。
「じゃあね。今日はありがとう」
別れの時まで爽やかに、彼は手を振って去っていった。
あの花束を手渡されるのは、家族なのだろうか、それとも恋人なのだろうか。
どっちにしても、あんなに沢山の『愛情』を伝えられる人が居るなんて。
うらやましいな、と思った。
※SS担当者:梢