イラストSS

　半円のドームの向こうには雪がちらついている。
　テアドールの研究所ではクリスマスの飾り付けがシリーズによって施されていた。
　クリスマスの時期になるとシリーズも心なしか楽しげである。
「ニル、ケーキをどうぞ」
　シリーズの一人に手渡された苺のショートケーキを受け取るニルは、ベスビアナイトとお揃いのサンタ服を着ていた。
　シリーズたちにとってニルは憧れの対象であった。
　なぜなら、外に出られないシリーズにとってベスビアナイトが共有してくれる楽しい記録の中には殆どニルが居るからである。
　いつもベスビアナイトの視界には楽しげなニルの姿が映っていた。
　隣からグラスが重なる音が聞こえニルは振り向く。
　シリーズがベスビアナイトと乾杯していた。
　そのシリーズの顔もベスビアナイトによく似ている。
　沢山のベスビアナイトの兄弟たちに囲まれて、ニルは何だか不思議な気持ちになってきた。
　ニルはベスビアナイトの指にそっと触れる。
　もこもこの袖口に隠すようベスビアナイトはニルの指を握り返してくれた。
　それが嬉しくて、コアがほんわりと温かくなる気がする。
　ふわふわで温かくて、楽しい時間がずっと続けばいいなとニルは笑みを零した。

※SS担当：もみじ