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イラスト詳細

ヴェルグリーズのバクレツアロワナによるおまけイラスト

作者 キンイロアロワナ
人物 ヴェルグリーズ
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2023年12月24日

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イラストSS

 シャイネンナハトの大仕事の出来栄えは完璧と言って差し支えないものだった。
 誰の入れ知恵であろうか、サンタクロースを捕まえるのだと虫取り網を構えて寝ようとしない空と心結を窘めるのには一苦労したのだっけ。
 取り合えず布団に入ろうと促すヴェルグリーズを踏みつけ「おかーさーん!」と走る子供二人の姿には成長(の重み)を感じるのを禁じえなかった。主に腹。ホットミルクを人数分入れて何とかかんとか寝かせた頃には日付はとっくにシャイネンナハトになっていて、危なかったと二人して胸を撫で下ろしたのである。
 赤いセーターにクリーム色のセーター。それぞれ親子お揃いを着せたかと思ったら寝癖も直さず一目散にリビングへと駆けていく。朝からきゃあきゃあと走り回るほどの体力はないのでゆっくりとその背中を追いかけて。追いつく頃には、二人分の歓声が上がっていた。
 ぐちゃぐちゃに破られたプレゼント包装は一体どちらの影響なのかぼんやりと考えたのはヴェルグリーズ。多分星穹なのだろう。彼女は時にその容姿からは想像もつかないほど豪快だ。
「わー! 凄い、凄いよ、お母さん! 心結が欲しいって言ってたワンピースだ!」
「とっても似合ってる、心結。あら、リボンもついてるわ。ようし……うん、できた。ほら、お母さんにもっとよく見せて」
「うん! えへへ」
「いち、に、さん……すっごい数だ。あ、セナおじさんからのもある」
「二人に早く会いたいと言っていたからね。先にプレゼントを受け取っておいたよ。あっちには父さんと母さんからのプレゼントもあるけど、セナおじさんには今度お礼を言えるかな?」
「う、うん。ちょっと緊張するけど……できる!」
「いい子だね」
 今年は二人とも傷だらけで帰ってくることが多くて心配をかけてしまったから。ものを与えるだけが愛ではないけれど、たくさんの幸せや想いを形にして贈るのだって素敵なことだと、もう何年もシャイネンナハトを共に過ごしてきたからこそ二人は知っている。
 子供の小さな手で王冠を飾られたヴェルグリーズが楽し気に目配せすれば、星穹の頬もゆるゆると緩んでいく。「成功したね」「貴方と私なら出来ないことなんて、」。言わずとも伝わるから。
 サンタクロースの正体にキミ達が気付くくらい大きくなるまで。いつか貴方達がサンタクロースになるその日まで。分霊の主として、なんて淡白な言い方をするよりも。家族として、親として、どうかずっと、愛しい子供たちの成長を見続けられますように。

 ※SS担当:染

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