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水月鏡禍は縛られている。自らの棲家と認識している手鏡の呪いに。
それを未だに彼は知らず、だがその呪いはイバラとなって彼を締め付ける。

イバラを操るのは白く細い女性の腕。手足を絡め取ったイバラを動かせば彼は動いてしまうのだから。
それならば手鏡の主人は一体誰なのだろう？

意識もないまま鏡禍は刀を握る。
滴る赤は誰のもの？
不意に浮かぶ意識の隅で疑問に思ったって、振り返ることなどできやしないのだ。