イラストSS

　おかしい、自分は良い子の為にプレゼントを持ってきた筈だ。秋奈は思った。
「あらあらあら～～？？？」

　どうして目の前に既に出来上がっているヴァレーリヤがいるのだ。
　どうして酒瓶でツリーを作っているのだ。
　どうしてその大量の酒瓶はみな等しく空っぽになっているのだ！！

　否、考えている場合ではない。
　瞬時に身を翻し窓からどこぞの怪盗小説よろしく華麗に退場しようとしたが何故か身体が動かない。ちらりと後ろを見ると赤くてカッコイイ、なびく姿はヒーローなロングマフラー。秋奈ちゃんマフラーをヴァレーリヤがしかと握りしめているではないか。己だけは絶対に破れまいという、強い意志が完全に裏目に出てしまった。
「おほほほ、私の顔を見た瞬間に帰ろうだなんて酷いではありませんの。せっかくの聖夜ですもの、一緒に飲みましょう？」
「グヘェー！　ヴァレーリヤさんは良い子じゃなくて酔い子じゃんよ！！
　うおー！　私ちゃん、このお仕事が終わったら冷蔵庫のアイス食べるんだ！！！」
　( 'ᾥ' )顔で必死に抵抗し、鮮やかに死亡フラグを立てた秋奈の手からは最期の希望のスマホが零れ、断末魔をあげながら秋奈は室内へ引きずり込まれていった。

　※SS担当者：白