イラストSS

「でかい鍋だな」
「なんせ魔女が住んでいた家だからな。本人はとうの昔に放浪の旅に出てそれっきりなので、俺が使わせてもらっている。人の居ない家は荒れるしな」
　弾正の感想に、ラウランはそう言った。
「経緯はわかった。で、なぜ家に帰ってない？」
「ま、まあその話は、後日ということで」
　アーマデルの鋭い指摘に、ラウランはへらへら笑ってごまかした。弾正とアーマデル、ふたりそろってジト目になる。
「それじゃ聖夜のキノコパーティー始めるか！」
　やけくそ気味の提案に、ふたりしてしかたないとうなずいた。

「なんで鍋が光ってんだよ、さっきまで普通だったろ！　何入れたんだよ！」
　ラウランが絶叫した。そうさっきまで普通のキノコ鍋だった。ラウランが集めてたキノコを、弾正ところのカジキマグロで出汁を取り、アーマデルの領地で採れた野菜を添えた、山海ちゃらんぽらん鍋である。
「……俺は何もしてない、たぶん」
「たぶんってなんだよぉ！」
「ちょっと持参した出汁を足しただけだ」
「ぜったいそのせいじゃないか！　なんだよそのなにげにピースは！　むかつく！」
「ゲーミングの波が深緑まで……？」
「ボケ倒しで何とかなると思ったら大間違いだからな！」
「まあまあ」
　弾正が割って入る。
「だいじょうぶだ、たぶん。試食くらいはしてみせよう、愛ゆえに。冬の茸は旨味がギュッと詰まっていておいし……」
　箸でキノコを取り上げた弾正はフリーズした。
「面白いな！？　食べられるのか？　このゲーミングキノコ！」

　※SS担当者：赤白みどり