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イラスト詳細

夢見・ヴァレ家のりりんによる関係者1人+PCピンナップクリスマス2022

作者 りりん
アバター 夢見・ヴァレ家
イラスト種別 関係者1人+PCピンナップクリスマス2022(→おまけイラスト)(R.O.O・サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

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イラストSS

●In the end, we will remember not the words of our enemies, but the silence of our friends.
 豆やレーズンをふんだんに使ったプロフ、酢玉葱と羊肉の相性が抜群なシャシリク。
 街で吟味した酒と肴、狩ったばかりの新鮮な獣から流れる血は未だ少し温かい。
 規則性を持って織られたヴィンテージ・キリムに腰を下ろせば、せっせと其れ等を広げ女ふたりの長い夜の始まりだ。

「……結局、あちらでは一緒に祝えず仕舞いでしたからね」
「なんの話だ?」
「ただの独り言です。何でもありませんよ」
 同じ歴史を辿って、違う結末を得た。決して幸せとは言い切れないかも識れない。其れでも此の世界では祈りを捧げる前に、手向けの花を供える前に、此の掌を差し伸べる事が出来た。
 顔を合わせれば近況の報告をする様に迄なった。まるで少女みたいにささめき合って、笑って、好きな人の話をして。今隣に在るミリアムは、全ては虚構だとしても生きているのだから。

「それより覚悟は良いですか? こう見えて拙者、かなり強いのですが!」
「砂嵐の酒は強いぞ。その言葉、後悔することにならないといいがな」
「「輝かんばかりのこの夜に!」」

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「むにゃ、やっぱり拙者の勝ち……ですね……」
「何処がだ、全くもう……だから飲み過ぎるなと言ったのに。仕方のない奴だ」
 己の方に頭を預けて酔いどれ睡るヴァレ家の鼻を軽く摘んで、そうすると酸素を求める様に身じろぎした後に今度は大口を開けて此の様で在る。
「はあ、やれやれ……」
 悪酔いしない酒を選んだ心算だったが、酔い醒ましにショールヴァでも作ってやろうか、とミリアムが見上げた天窓の煙突と木枠の隙間を、きらりと眩しい一条の流れ星が疾って行った。

 ※SS担当者:しらね葵

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