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佐藤 美咲のあさぎあきらによるおまけイラスト

イラストSS

 空に浮かぶ島、アーカーシュ。
 その不思議な島を拠点とする鉄帝派閥『独立島アーカーシュ』では物資の空中投下、空挺作戦等、空に在ることを生かした行動や作戦が取り上げられ始めていた。
 しかし、そうなると当然切っても切れないのが空中行動である。
 飛空艇から飛び降りて、速やかに現地へ向かい応援に駆け付けたり物資を届けたりすることを考えると、いかに空中で思うように体を動かせるかという事が大事になってくる。

「でも、空中行動って訓練なしではなかなか難しいんスよねー
 そんなわけですから訓練しましょう、訓練」
 今回は空中投下による物資輸送訓練。だが、只訓練するのも味気ない。
 ペンをくるりと回して、カレンダーの赤丸が目に入った。
『シャイネンナハト』
 これは屹度カミサマの思し召し。そうに違いないと美咲は招集令を出した。
 赤いサンタの服を着て、プレゼントを沢山詰め込んだ袋とバッグを背負って各々島の端へと集合。点呼を取って、人数に欠けが無いことを確認し「せーの」で一斉に濃紺の星空に四人のサンタクロースが流れ星の様に飛び出した。
「降下訓練って慣れてないけど……! 何とかするよ! あ、まって眼鏡……! 眼鏡はダメ!」
「しかし降下訓練とはこのように楽しいものなんじゃの! 全身で風を感じる機会もそうそうないしな!」
 ヨゾラがわたわたと伊達眼鏡をなくさないように必死に抑えているすぐ真下で、楽し気にニャンタルが腕を広げ風を一身に浴びて満面の笑みを浮かべている。
「わっ、わっ……!高いなぁ……! 猫さんみたいにちゃんと降りられるかな?」
 大事なお友達の猫さんのぬいぐるみとプレゼントの袋を離さないようにしっかり握りしめて、ぱたぱたと祝音の三角帽子が風に揺れていた。

「いやー、サイコーっス。イケメン、美少女、美少年のミニスカサンタ。眼福眼福」
 降下訓練なんて実は建前。
 この見目麗しい方々のミニスカサンタをこんな間近で拝むことこそが目的である。
 生足魅惑の絶対領域、やぁ絶景かな絶景かな。
 レンジャー訓練を受けていた美咲は余裕たっぷりに空中で仰向けになって赤と白のコントラストを楽しんでいた――と、言うのも実は建前である。

 本当は、どこかで見た親を亡くした子の顔がどうしても頭から離れなかったから。
 笑顔で迎える筈だった聖夜を、涙を流して過ごすしかなかった子が瞼の裏に焼き付いてしまったから、それだけ。

「ただ、それだけ」

 ※SS担当者:白

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