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ルカ・ガンビーノの彁による2人ピンナップクリスマス2022
ルカ・ガンビーノの彁による2人ピンナップクリスマス2022
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●空飛ぶ祭り
――お前に降りる気がねえなら、祭りの方をこの空まで上げてやる。
荒唐無稽な発言にも聞こえようが、どうしてか。ルカ・ガンビーノが言うとそういう風にも聞こえない。砂漠のプリンスは実に厄介極まる男だ。薫陶を受けた赤犬の首領を若くしたようないい男で、彼とはまるで異なり実に一途で真っ直ぐである。
「どうよ」
何処か誇らしく言ったルカにざんげは「はじめてでごぜーますね、お祭り」と少し感心したような声を上げていた。
「……ま、手伝ってくれた奴が多かったからな」
ローレットの面々がざんげの為に空中神殿で催しをしたいと言ったルカに協力したのは彼の人望もあっての事だろう。かくて舞い散る雪の中、何時に無い賑やかさで満たされた空の世界はざんげの為の時間になった。『ルカが作った一夜限りの夢』を屋根の上から見下ろせば、ざんげの口元には見ても分からない位の幽かな微笑が浮いていた。
「……」
「……………」
「おい、危ないって――」
肩を抱いたルカはそうしてから「いや、今のはそういうんじゃなくて」と幾らか奇妙に言い訳めいた。当のざんげは無論分からず小首を傾げているだけだ。
「ルカ」
「……ん?」
「何だか、ありがとうでごぜーます」
何処までも無垢で、何処までも硬質。
「ありがとうでごぜーます」
「……おう」
人の気も知らないでやたら真っ直ぐに見つめてくるざんげに王子様でも『多少の下心』ばかりは完全否定出来ないルカは頬を掻いて何とも複雑な顔をした。