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鵜来巣 冥夜のkzgr_によるおまけイラスト
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――綺羅びやかなアデプト・トーキョー。此処は再現性歌舞伎町1980街、ホストクラブ『シャーマナイト』。
友人に連れてこられた私は、ホストなんて初めて。おろしたてのヒールでゆっくりと高級そうなレッドカーペットを進んでいく。
「ふふ。緊張されていますか?」
OWNERの名札の輝くホスト、冥夜さんは私へ恭しく一礼し、サービスなのだというキャンディを手に握らせてくれる。
「多忙すぎるサンタだって俺の胸で救ってやりましたよ。困ったらいつでも、俺を呼んでください」
甘い耳打ちにみるみる顔が赤くなる。どうしたって大人の色気というものには慣れない。とってもセクシーで、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。ひらりと手を振る姿も……大人の余裕というやつなのだろう。
ところであの子はどこに行ったのだろう、もう酔い潰れていないだろうか?
友人を探し店内で迷う私。次に声をかけてくれたのは気さくそうなホストのオランさんだった。
「よ。何か困ってんのか? 俺でよけりゃ力になるぜ」
優しく頼もしい笑顔に心が落ち着く。思わず笑みが溢れる。そんな瞬間を彼が見逃すはずもなく。
「よし、笑ったな。じゃあ次は……戦場を血で染めるんじゃなくて、俺がお前の頬を赤く染めてやるぜ」
いわゆる壁ドンの姿勢になった私は、オランさんから目が離せない。青年のような無邪気な笑みも熱を帯びた視線に変わっていく。輝かんばかりの夜の魔法だろうか? からからと笑うオランさんは、ずるい。
思わずふらついた私を支えたのは、ふんわりとオレンジの香りのするホストのヴェルグリーズさん。
「おっと……ふふ、間に合った。今宵はキミが僕の主だよ。誠心誠意、お仕えするね」
主だなんて。こんなにもかっこいい人に仕えてもらうだなんて、心臓が爆発してしまうかもしれないし。
しどろもどろになりながらも伝えると、端正な顔が綺麗な笑みを浮かべて。
「大丈夫だよ。姫でも主でも、キミが特別ってことに変わりはないから」
さらりとお姫様抱っこをしてしまう辺りこういうところなのだろう。顔が赤くなって仕方がない。
「ほら、こっちだよ。段差があるから気をつけてね」
手を差し出してくれたのは、美しい灰銀の髪をしたホストのカティアさん。
「雰囲気だけでも緊張しちゃったのかな。今宵の趣向は……まだ内緒だよ?」
人差し指を唇に押し当てられる。いたずらっぽく笑った彼の姿に目が奪われる。
……ああ、もう。こんなことなら、ホストクラブになんて来るんじゃなかった!
※SS担当者:染