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準備は万端
準備は万端
イラストSS
――さて。
シャイネンナハトだろうが何か仕事がある人物はいるものだ。
例えば幻想貴族のシルト・ライヒハートはその一人だろう。
貴族ともなれば、なんぞやの用が突然生える事もある。
故。早急に片して『彼女』の下へ帰りたかった――のだが。
「……クリス。分かっていると思うが、今夜はシャイネンナハトなんだが?」
「ええ――分かっているけれど、それが?」
なぜかパーティに参加させられている。
おかしい。家の商談という話で来た筈なのに、シャンパンまで用意されているぞ。
しかも何故かクリスはのらりくらりと話を引き延ばす――
「はぁ……さっさと終わらせようクリス」
「ふふ、いいじゃない。料理を楽しみましょう?
それとも料理かシャンパンに不満でもあったかしら?」
「いや別にそう言う事ではなくて……ええと……」
吐息零す。これは早々に帰れる気配ではないと……
無理に帰るのもまずい。なんだかんだ商談という手前で来ているのだ。
付き合いを蔑ろにすればどうなる事やら。
……やむを得ない。こうなってしまってはもう暫く付き合わねば……
(ブレンダ、すまない。もう少し待っていてくれ――)
窓の外を一瞬眺め、シルトは想い馳せようか。
彼女は今――家で待っていてくれているのかな、なんて思いながら。