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イラスト詳細

フラーゴラ・トラモントの死体66による3人ピンナップクリスマス2022

作者 死体66
人物 フラーゴラ・トラモント
イーリン・ジョーンズ
オリオン
イラスト種別 3人ピンナップクリスマス2022(→おまけイラスト)(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

3  

イラストSS

「オリオン見てちょうだい。サンタクロースという文化があるのよ」
 銀泪の間に現れたイーリンは、オリオンの姿を見つけると開口一番にそう述べた。
「ならば、しかと刮目してみせよう!」
 何を見るかも聞く前に、オリオンがカっ目を見開く。
「フラーゴラがコスプレしてきたわ」
 言葉通り、後ろから現れたのは可愛らしいサンタクロース衣装のフラーゴラだった。
「おお、これがサンタクロースというものか! ひげがついているのだな! だが目が乾くな!」
「瞬きは忘れないでちょうだい、こっちが呼吸を忘れるから」
 サンタクロースおじさんは、聖夜に良い子へプレゼントを配るのだと教えてやる。
「ならば余もまた良い子であったということか!」
 イーリンがこっそり置いておき、さっそく着てくれている冬服を誰がくれたのか、気付いたらしい。
「礼でもしたいが、せめて感謝せねばならんな」

 しかしオリオンは毎度大仰な話し方をするものだ。
 おまけに今日も今日とてゴラぐるみを抱いているし。
 そんな様子がなんだか面白くてフラーゴラの興味は尽きないが、言いたいことはそれではなかった。
「待ってお師匠先生何で着てないのワタシだけ何でサンタ?」
「それじゃ聖夜らしく、星でも眺めにいくわよ」
「えっ……お師匠先生……ちょっと待って」
 しれっとスルーして歩き出したイーリンを、フラーゴラとオリオンが追う。

 温かな広場から外に出ると、澄み切った冬の大気に星が瞬いている。
「寒い! 寒い!」
 オリオンの冬の精霊とは思えない言葉はさておき、そこは思っていたよりはずいぶん温かだった。
 エリスのはからいだろうか、辺りには雪も積もっていない。
 座って上を見上げれば、宝石箱をひっくりかえしたような空が広がっている。
「黙って空をながめたことなどなかった」
「だと思ったわ」
 オリオンは脆弱な肉体に業を煮やし、剣ばかり振って修行に勤しんでいたようだ。
「そうだ……オリオンさん……寒いなら、おしくらまんじゅう……する?」
「おお! フラーゴラ! 余に好き嫌いはない、おしくらでもまんじゅうならば見事に食して見せよう」
「残念、食べ物じゃないのよ。こうするの」
 イーリンがオリオンとの間にフラーゴラを引き寄せ、肩で肩を押す。
「ワタシが……真ん中……!?」
「おお、たしかに温かくなってくるな! これもまた文化というわけか!」

 そんな当たり前のようで、掛け替えのない夜。
 しずかで平和な、ただの夜。
 毎年の――そしてオリオンにとってははじめての――シャイネンナハトがやってきた。

 ※SS担当者:pipi

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