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シュネーの八十一鱗による関係者1人+PCピンナップクリスマス2022
シュネーの八十一鱗による関係者1人+PCピンナップクリスマス2022
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嘗て、『ルドラス』という名の男がいた。
彼は後悔と残機の念から魔種となり、とある娘に斃された。
だが、彼は今――R.O.O.の世界では何てことない一人の冒険者として“生きて”いた。
花が煌めいている。
まるで真っ白な雪が積もったかのような色をした其の花は、群れて咲いて揺れている。
これが造り物だなんて、誰が言えるだろう。
――見て下さいルドラス様、凄く綺麗な花が沢山!
――ああ、森の皆に言われたからシュネーさんを誘ってみたんだが……本当に、雪を花の形にしたみたいだ。シュネーさんは花は好きだったかな?
――ええ、勿論好きです。摘むのを勿体無いと思うくらいには
シュネーは頷いて答える。
そして僅かに、呼ばれる名前が己のほんとうの名前でない事に、寂しさを覚えた。ルドラスの中では、わたくしは、シュネーさん。小さい頃から面倒を見て貰ったネーヴェでは、ない。
そんな一抹の寂しさをそっと花弁で覆い隠して、花輪を作りたいですねとシュネーは悩み始める。
摘むのは勿体無いが、花輪は作りたい。愛らしいジレンマに悩む彼女を観るルドラスの目は、……ああ、シュネーがみたらきっと、懐かしさに泣いてしまいそうな目だった。
※SS担当者:奇古譚