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アカサシテ
アカサシテ
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クリスマスだから少し休憩しに行かないか。
その提案を受けてから晴陽は戸惑いながらも応じた。少しばかり尾を引いてしまったのは彼の感情を知ってしまったからだ。
(……どうすればいいのでしょう)
弟との関係性も余り良くなかった晴陽にとって弟よりも更に年下の青年は大人びて見えるがまだ幼く可愛らしい存在として映っていた。だからこそ、弟のようで愛らしいと接してきたつもりだった。
だが――それはどうやら彼の気持ちを蔑ろにしてしまっていたらしい。
(どのようにすれば……)
カフェの席に誘われ、竜真が注文する様子を眺めながら晴陽は俯いた。
気持ちに正しい答えを示せないままの宙ぶらりんの己が、彼にとってどうしようもない存在に見えていたならばどうしよう。堂々巡りの晴陽へと「珈琲」と竜真は差し出した。
「……ありがとうございます」
「晴陽さん、これ。似合うと思ってつい買ったんだ。良ければ、付けてくれると嬉しい」
差し出されたのはブレスレットの入った包装であった。晴陽は眉を下げ困ったように視線を逸らす。
「ありがとう、ございます」
この関係性に変化がないままならば、何も思わず『弟からのプレゼント』だと感じただろうか。
そんなことを思いながら晴陽は律儀に「少し、待っていて下さい」とだけ返した。
中途半端なままでは彼にも悪いと、そう思ったからだ――
*SS担当:夏あかね