イラストSS

　銀の森に籠りきりだったエリスにシャイネンナハトを楽しんで欲しいと焔はパーティーセットを準備した。
「ほら！　ケーキは何種類か持ってきたけどどれがいいかな？　あっ、チャイルドの皆の分もあるから安心してね！」
「まあ。嬉しい。有り難うございます、焔ちゃん」
　そう呼ばれると妙な心地だった。オリオンが教えたイレギュラーズの常識が彼女をぐっと友人にしてくれた気がするのだ。
　嬉しそうにケーキを眺めたエリスに「紅茶も淹れるね！」と焔はうきうきとティーセットを用意する。
　エリスの準備した茶室にクリスマスツリーやケーキを飾り、少しぬるめのミルクティーを作る焔。
　エリスはそわそわとした様子で彼女の背中を眺めていた。精霊女王であった自分が彼女とこうして楽しい夜を過ごせるなんて思っては居なかった。
（子供達もとても喜んでいます。何て幸せなんでしょう）
　沢山のイレギュラーズ達が銀の森に遊びに来てくれる。そしてエリスと呼んで貰えることが彼女にとっては嬉しかった。
「焔ちゃん、楽しいですね」
「うん！　とっても楽しいね。
　来年も、再来年も、ずっと遊びに来るよ！　そのためにも、早く鉄帝の件も解決しないと！」
　吹き荒れる嵐も静まってしまえば、皆が遠離るだろうか。
　そんな一抹の不安を感じ取ってくれたように笑った友人がエリスは何よりも愛おしかった。

　SS担当：夏あかね