イラストSS

全てがボロボロの教会跡地で

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　鉄帝国では新皇帝即位後、国内の混迷が極まる。
　ただでさえ、鉄帝は自然厳しく、冬の寒さは非常に身にこたえる地。
　加えて国内が戦火の中であれば、防寒手段の確保と合わせて食料調達も困難となる。
　ここ、廃墟となった教会跡地でも、多数の人々が凍え、腹を空かせていて。
「ちょっと待ってね」
　近場の人から呼びかけられたロゼット＝テイ（p3p004150）は二つ返事で調理場へと戻る。
　ロゼットは体のあちらこちらに包帯を巻き、一部はガーゼを医療用テープで止めている。
　ボロボロの彼女であったが、この地で身を寄せ合う避難民達へと炊き出しを行うべく、忙しなく動き回っていた。
「はい、ゆっくり食べて」
　ロゼットは少ない食材をやりくりして調理し、皆が食べられるようなパンやスープを振舞う。
「あ、あり……がとう……」
「ママ、美味しい……」
　震えながらも細い手を伸ばす老人、娘へと自分の分までパンを渡す子供……。
　今日はシャイネンナハト。
　例年であれば、楽しい聖夜を過ごすことができた人も多いだろう。
　仮にそうでなくとも、この場所が教会として機能し続けていたなら祈りを捧げることはできただろうが、現状、雨風すらも凌ぐことすら難しい。
「ほんと……、クソッタレだ」
　思わずそう毒づきながらもロゼットは奮起し、炊き出しを頑張るのである。

　※SS担当者：なちゅい