イラストSS

　ガラス越しの外からは、煌めくイルミネーションの光が届く。藍の帳が落ちてしばらく経つが、今宵の無辜なる混沌はなかなか眠りにつかないだろう。
　だって、今夜は世界中に平和が訪れる日なのだから。
「ジェック様、そちらの準備は終わりまして？」
「うん。タントももう大丈夫そうかな」
　外へ視線を向けていたジェック・アーロン（p3p004755）は、御天道・タント（p3p006204）に小さく微笑んで見せる。
　ローテーブルには今宵のために用意した料理やケーキ。パーティの始まりを告げるように、キャンドルへ火を灯せばゆらりと暖かな光が揺らめいた。
　互いに飲み物を注ぎあって、タントはぱちりとジェックへウィンクする。
「準備は良いですこと？　今宵は徹夜で楽しみますわよー！」
「徹夜パーティなんて、一緒に初日の出を見て以来だね」
「ええ！　ワクワクしますわね！」
　嗚呼、可愛いな。
　笑顔の彼女を視界に収めて、ジェックははにかむ。
「「輝かんばかりの――この夜に」」
　言葉とともに、グラスの合わさる硬質な音が小さく部屋の中に響いた。

　――まだ、夜は始まったばかり。

　※SS担当者：愁