イラストSS

「シフォリィさん、目線くださーい！」
「ああ、いいですね！　可愛いです、そのままお願いします！」
「はい！」
　金色に煌めく夜景をバックに赤いレオタードに身を包みシフォリィ・シリア・アルテロンドは可憐に微笑んだ。今日は練達で流行っている雑誌の表紙撮影である。聖夜は旅人たちの街にも等しく訪れるのだ。
　本日の衣装はサンタクロースを意識してデザインされたレオタードとケープである。
　落ち着いた赤と白いファー、無鳥のリボンをあしらったベルがシンボルとなっていて可愛らしいデザインだった。
レオタード自体はシフォリィも幼少の頃に教育の一環としてバレェなどを習っていた為、抵抗はない。
（抵抗はない、ないんですが……）
　微笑みを保つシフォリイにびゅう、と風が吹きつける。ぞわ、と泡立つ肌にガタガタと震える脚。
（さ、寒い……！！）
　真冬の深夜、そして高所に屋根の上。おまけに雪まで降っているのである。
　そんな中で鼠径部を無防備に晒したレオタードを着ていればどうなるか。そう、滅茶苦茶寒いのである。
「シフォリィさん、今度は別のポーズでもう一枚！」
「はい！」
　それでも笑顔を保つ彼女は間違いなくプロフェッショナルであった。

　※SS担当者：白