イラスト詳細
ヴェルグリーズの天野 架による2人ピンナップクリスマス2022
ヴェルグリーズの天野 架による2人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
しんしんと降り積もる白い雪は、もうすぐやむだろうか。
闇夜に降る雪は、明かりに晒された瞬間にその姿を現す。
屋敷に灯る明かりに照らされた雪が橙色に反射していた。
「ヴェルグリーズは忙しいのに、よく来てくれたのう」
「友人殿の為なら何てことないよ」
そうか、と言い終えて何を言葉にすればいいか分からなくなった。
心が疲弊しているというのだろう。
自分の手からこぼれ落ちる命に遮那は幾度となく涙を流した。
己の無力さに打ちひしがれるようだと瞳を伏せる。
きっとヴェルグリーズは励ましにきてくれているのだろう。
立て続けに起った出来事は自分一人では抱え切れないぐらいに膨らんでいた。
けれど、語るべく言葉が出てこないのだ。
自分の中で折り合いがついていないものを口にすることは出来ない。
ヴェルグリーズはそんな遮那を慮ってくれているのだろう。
何を聞くでもなく、傍に居てくれる。
それが何れだけ遮那にとって救いとなったことだろう。
もう少しだけこのまま、静かに座っていたい。
これが甘えであることは承知しているけれど。ヴェルグリーズなら許してくれると思うから。
細い月が雪降る夜空に薄らと浮かんでいた。
※担当:もみじ