イラストSS

　12月も半ばを過ぎて忙しなくも賑わう街の一角に、『2022 HOLIDAY ACCESSORY COLLECTION』と銘打った大きなポスターが掲げられていた。
　映っているのは金髪の女性達だ。海を思わせる青く豊かなドレープのドレスを纏い、ゆったりと椅子に腰掛けるココロ。彼女に後ろから腕を回し、ワインレッドのセーターと黒いタータンチェック柄のスカートでシックな装いの華蓮。『華心ぷろじぇくと』の名で活躍するふたりが、とある宝飾店とコラボしたもののようだった。
　真珠貝をモチーフにした指輪。帆立貝の髪留めにイヤリング。雪の結晶のネックレス。シンプルなブレスレット——シルバーやプラチナで誂えたアクセサリー達は、どれもココロと華蓮に寄り添うような控えめで可愛らしい輝きを放っていた。

｢……いいなぁ｣
　ぽつりと溢れた想いはそれらがお揃いであったり、デザイン違いであったり、ふたりの仲睦まじさをさり気なく引き立ててくれていたからだ。特別な日にこんなふうに笑い合えたらしあわせだという理想の形。キラキラと眩しくて、羨ましくて、胸がきゅうと音を立てた。
｢今年は勇気、出してみようかな｣
　記された店の名前を確かめた彼女は、ポスターに背を向けると迷わずに歩き出す。祝福するように空から雪が舞い降りれば、聖なる夜まであと少し——

　※SS担当者：氷雀